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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

動物性タンパク質と植物性タンパク質、身体に良いのはどっち?という観察研究のお話

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こんにちは、なすびです。( ˙꒳˙ )

 

今回はタンパク質のお話です。

 

タンパク質が健康に重要なのはもちろんのこと、メンタルにとっても重要である事は当ブログでも何度か触れてはいるんですが、そんなタンパク質で議論になりやすいのが『動物性のタンパク質と植物性のタンパク質ならどっちが身体に良いのか?』という話です。

 

この辺はどちらも得手不得手があるので判断が難しく、

 

 

なんて話があるので、結局のところどっちを重点的に食べればいいのかについてはよく分からずという感じです。

 

なのでとりあえず動物性と植物性は偏らないようにバランスよく食べるのが無難な感じではあるんですけど、最近の研究では、「動物性のタンパク質と植物性のタンパク質どっちが病気のリスクを減らしてくれるんだろうか?」なんてところを調べていて、参考になりそうな感じでした。

 

 

 

1日の総タンパク質の3%は植物性にするのがいいのかも??

これは2020年の研究になりまして、416104人の男女を対象に「植物性タンパク質の摂取量が死亡率にどのような影響を与えるのか?」を調べた観察研究になってます。(p)まずはこの研究の内容についてざっくりと見ていくと、

 

  • まずは普段の食事内容をチェックし、植物性タンパク質や動物性タンパク質の摂取量を把握
  • 参加者を16年間追跡調査し、タンパク質の摂取量が死亡率にどのような影響を与えるのか?について傾向を調べる

 

ということをやってまして、観察研究にしては参加者の数も多くて、16年間の追跡してるのはポイントが高くていい感じですね。

 

でもって、そんな調査結果ではどんな傾向が出たのかといいますと、

 

  • 植物性タンパク質の増加は男女ともに全死亡率の減少とわずかに関連していた(摂取量がSD倍離れる毎に男性では-0.36%、女性では-0.33%)
  • この結果はタバコや糖尿病、果物の消費量やビタミンサプリの使用などといった影響が出そうな変数を調整しても残った

 

とのこと。また更に動物性タンパク質の3%を植物性タンパク質に置き換えた場合で分析すると、

 

  • 男女ともに死亡リスクが10%低下する
  • 心血管疾患死亡リスクが男性では11%低下、女性では12%低下する

 

といった相関が見られたとのこと。

 

そして全死亡リスクに関しては、「特にどんな動物性タンパク質の食品を植物性タンパク質に置き換えるといいのか?」という分析では

 

  • 卵を植物性のタンパク質に置き換えると男性ではリスクが24%低下し、女性ではリスクが21%低下する
  • 赤身肉(牛肉や豚肉)を植物性のタンパク質に置き換えると男性ではリスクが13%低下し、女性ではリスクが15%低下する

 

んだそうです。

 

結果をパパっと書いてきましたが、この研究だと因果関係を割り出すデザイン設計ではないので、植物性タンパク質を増やすことで死亡率が下がってるのか、赤身肉や卵の摂取量が減ることで死亡率が下がってるかはよくわからない感じはあるのかなと。

 

しかしながら植物性と動物性タンパク質の割合よりは、タンパク質の種類が重要であることは間違いないといったところでしょうか。

 

 

 

日本人を対象にした研究でも同じような結果が、、、

先のデータはアメリカ人を対象にしたものなんですけど、日本人を多少にした研究でも同じようなことについて調べてたので、参考にしようかと思います。(p)

 

これは2019年に国立がんセンターが発表した観察研究で、やってる内容は先の研究と似たような感じなので参加者の特徴だけサラッと見ていくと、

 

  • 参加者は70696人で年齢は45~74歳
  • ベースラインの設定時、がん、脳血管疾患、虚血性心疾患の既往歴はない
  • 1999年までデータを集めて、2016年までの追跡調査

 

という感じになります。参加者数で考えれば、先の研究よりは少ないですが、日本人を対象にしてる点はかなり参考になりそうです。

 

ということで同じように結果をみていくと、

 

  • 動物性タンパク質の摂取は総死亡率または原因別死亡率に特に関連性はなかった(牛を食べるとリスクが上がる、ブタを食べると下がるみたいなことにはならなかった)
  • 植物性タンパク質の摂取は死亡率の低下傾向を示していた(P = 0.01)
  • 特に新血管疾患による死亡リスクが最大で30%減少する(HR:0.84~0.70、P = 0.002)

 

とのこと。先のデータと比較的似たような傾向が出てますね。

 

そして更にタンパク質の種類ごとの分析だと、赤肉タンパク質の3%を植物性タンパク質に置き換えると、

 

  • 総死亡率34%の低下(HR、0.66;95%CI、0.55-0.80)
  • がん死亡率39%の低下(HR、0.61;95%CI、0.45-0.82)
  • 心血管疾患死亡率42%低下(HR、0.58;95%CI、0.80)

 

に関連してまして、 ハムやソーセージのようか加工肉によるタンパク質の3%を植物性タンパク質に置き換えると、

 

  • 総死亡率が46%低くなる(HR、0.54;95%CI、0.38-0.75)
  • がんリスクが50%低くなる(HR、0.50;95%CI、0.30-0.85)

 

傾向があったそう。

 

先のデータと比べても、どうにも植物性タンパク質を増やすことが重要だ!というよりは、加工肉や赤身肉を減らすことによる恩恵が大きそうな感じがしますね。

 

 

 

タンパク質の3%を植物性に置き換えるって、そもそも気にしなくても良いレベルなのでは?

で、2つのデータを見てみると、動物性のうちの3%を植物性に変えるとメリットが大きそう!って話なんですが、この3%ってほぼ意識しないで良いレベルの量なんですね。

 

ダイエットならタンパク質のベストな量は1日の総カロリーの30%という過去の論文を参考にすると、少なくとも約2〜3gの植物性タンパク質とればいいので、普段から納豆とかほうれん草、じゃがいもを食べてる人であれば満たせてしまうところはあるんですよ。(p)

 

もちろん植物性のタンパク質が重要であることは否定しませんが、植物性タンパク質を増やせば増やすほど良い!ってことがわかった訳でもないので、健康のためにはどちらかというと植物性と動物性の割合を気にするよりタンパク質の種類を意識するほうが重要そうだ!ってところでしょうか。

 

具体的には

 


 という感じで、基本的には魚や鶏肉をおすすめしますが、赤身肉や卵なんかは低温調理やグラスフェットビーフなどを選ぶことで病気などのリスクは下げられそうなので、健康上のリスクが心配であればこれらに気を使ってもらうと良さそうです。(ちなみに自分は赤身肉や卵に関してはそこまで気にしてはないです)