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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

気持ちがなかなか切り替えられない、ならば悩む時間帯を決めちゃおう!という心理テクニックのお話

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こんにちは、なすびです。(  ˙꒳​˙  )

 

「気持ちを直ぐに切り替えるのが苦手!」なんている人は一定数いるかと思いますが、そんな自分も嫌なことがあったらしばらく考えこんじゃったりと、切り替えるのが苦手だったりします。

 

そんな場面に直面した時、「何とか切り替えなきゃ!」とか「考えちゃダメだ!」なんて言い聞かせてみるものの、不思議なもんで考えれば考えるとほど、切り替えることが難しくなってしちゃうんですね〜。

 

まぁこのへんは「感情は抑え込もうとするほど反発する!」という『ACT』の参考にしてもらえると良いんですけど、今回は「悩む時間を決めておくと、気持ちを切り替えやすいぞ」なんて話がありましたので、まとめておこうと思います。(*¯ㅿ¯*;)

 

 

 

悩む時間をスケジュールに組み込んでしまおう!

ここで紹介するのが『不安スケジューリング』と言われるもので、ざっくり説明するとあらかじめ不安になる時間を決めておくというシンプルなテクニックです。あんまり大したことがなさそうなイメージかもしれませんが、1980年代とかなり前から不安症や心配性といった考え事に苦しんでいる人の治療としても使われているテクニックになってます。

 

大きなジャンルとしては「刺激制御トレーニング」なんていわれているもの1つで、過去に『睡眠を改善するための刺激制限療法』なんて記事を書きましたが、それを応用したような感じです。

 

ちなみに刺激制限療法は「ベットを寝ること以外の目的で使わない、つまりベットに入る=眠る」ということを脳に覚えさせて寝つきを良くする感じなんですけど、「不安スケジューリング」も同じように「この時間になったら悩む!」というふうに決めておいて、考え事の落とし所を見つけるような感じなんですね。

 

そんな『不安スケジューリング』は

 

  • 考え事で作業が捗らな
  • 心配で眠れない
  • 一日中考え事をしていて、休みの日も気が休まらない

 

なんてケースに使えるので、エビデンスの確認をする前に早速やり方について見ていきます。

 

『不安スケジューリング』のやり方

☆Step1

まず自分が最近悩んでいることや不安に感じてついつい考え込んでいることについて、いくつかリストアップします。

・お金に関すること(これから家族を養っていけるだろうか)

・仕事に関わるようなこと(今度のプレゼン、商談はうまくいくだろうか)

このへんは人間関係でも、仕事でも、お金でももっと具体的なことでも構わないので、3〜4個くらい書いてみてください。

 

☆Step2

リストアップが完了したら、その中から特に重要な3つをピックアップして、今後のスケジュールに落とし込みます。

4月7日:1時から今度のプレゼンについて不安になろう

4月8日:3時からこの間のイライラした経験について考えまくろう

4月9日:8時からお金の心配について考えてみよう

といった感じ。覚えていれば、今日の3時から悩もうかな〜みたいな感じても大丈夫です。

 

そしてここで作ったリストは内容を思い出せるように、なるべく目の届くところにおいたり、持ち歩いてみます。

・卓上カレンダーに書き込んで、目に入るところに置いておく

スマホのスケジュール帳に書き込んで、待ち受け画面にしておく

スケジューリングしただけではついつい考え事をしてしまったり、スケジューリングしたことを忘れてしまうことがあるので、「そういえば、1時から悩むように決めてるんだった」となるべく気がけるような機会を作ってあげてください。

 

そして、もし考え事をしてしまっても時間まではなるべくしないように言い聞かせてみてください。これも無理やり感情を抑え込んでいるように感じるかもしれませんが、禁止しているわけではなく「何時まで」というゴールがあるので、ある程度気持ちが楽かと思います。

 

 

 

2週間でネガティブな気分が改善する!

でもって大事なエビデンスの部分。一応1980年代から使われていて一定の効果が確立されているものの、2013年の少し新しめの研究を見てみましょう。(p)

 

これは心配性な男女53人対象に行われたRCTでは参加者を以下のグループに分けて検証を行っています。

 

  • 「不安スケジューリング」のグループ:毎日30分、決められた時間と場所で心配するように決めるテクニックを実践する
  • コントロールグループ:時間などは特に決めないが、心配と不安を大きくさせないようなテクニックを実践する

 

この2つの介入を2週間行ってもらったところ、以下のような結果がわかりました。

 

  • 「不安スケジューリング」の方がより心配、不安、ネガティブな感情、および不眠症の改善していた
  • しかしうつ病に対してはどちらも特に違いはなかった

 

とのこと。研究によっては8週間で効果が出る場合もあったりするんですけど、この研究だと2週間でも効果が得られたんだそう。最初のうちはやっていて違和感があるかもしれませんが、やっていくうちに以下のようなこと気がつき、ストレスの対処がうまくなっていくんだとか。

 

  1. その考え事、悩みは自分で解決できることなのか?(コントロールできるのか?)
  2. 考え続けることが、有益なのかどうか?(思考の有用性)
  3. 自分がどんな時に考え事に悩まれやすいのか?(思考のパターンに気がつく)

 

この3つはストレスと上手く付き合っていくためにかなり重要なポイントでして、例えば「明日の会議が重要でどうしても遅刻ができない」といったケースで考えてみると、

 

  1. 電車の遅延を心配して早く起きるといった対策を立てることは出来るが、電車が遅延するかしないかは自分ではコントロールすることはできない
  2. 不安で早く起きる対策をするまでは良いが、電車の遅延を想像して心配していてもしょうがないことがわかってくる
  3. 自分は時間に追われている時、考え事でいっぱいになりやすい!というパターンが見えてくる

 

といった感じで、考えても仕方ないことの線引きをするのがうまくなったり、「自分は時間に追われると弱いな〜」みたいに自分を客観的に見ることができるので、ストレスとの付き合い方が上手くなっていくんですね。

 

こうするとストレスをどうにかするのではなく、変に刺激しないで常にあるものとして受け入れる姿勢を養うことが出来るわけです。これはアクセプタンスと呼ばれるもので、ストレスに柔軟になるためにとても重要な要素。

 

メンタルの改善に定評のある『ACT』でもこのアクセプタンスを養う部分が強いで、これは『不安スケジューリング』もメンタルを強くするかなり使えるんじゃないかなと思う次第です。

 

ちなみにこの『不安スケジューリング』は不安を切り替えるような使われ方が多いですけど、自分はイライラした時に使うこともあります。

 

仕事で腹が立つことが会った時、怒りに任せて仕事をするわけにもいかない、かといってこらえるのもエネルギー使うなんて時は、「じゃあ9時から怒り爆発させよう!」と考えると気が楽になりますし、なんならいざ時間になったら忘れてることもあるので、ストレスの応急処置としてはかなり便利だなーと思う次第です。

 

一応注意することは寝る前はなるべく避けるということです。人によって考え事で脳が冴えて寝れなくなるなんてこともあるので、就寝2時間前くらいに済ませておくのがオススメであります。

 

最初は上手く使いこなせないかもしれはせんが、コンスタントに続けていくとコツが掴めてくるかもしれないので、まずは2週間程試してみてはいかがでしょうか。( *¯ ꒳¯*)