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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

ネガティブな思考から抜け出すには『メタ認知』が重要だぞ!というメタ分析のお話

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こんにちは、なすびです。( ˙꒳​˙ )

 

そういえばメンタルを悪化させないため重要な『メタ認知』についてちゃんと書いたことがなかった思いましたので、今回は『メタ認知』についてです。

 

メタ認知』というのは、ざっくりいうと「自分が何を考えてるのかについて気がつく!」ような客観的な視点のようなもので、例えば、「なんだアイツ、ほんと腹立つな」という感情や思考をメタ認知的に捉えると、

 

  • 今自分はさっきのやり取りに腹が立って、イヤイラしてるな

 

という感じになります。

 

イライラした出来事を頭で繰り返し考え続けてしまうと、メンタルに負担がかかり続けてしまうので、「また自分あのことについて考えちゃってるな」とその思考に気がつき、一歩距離をおいて感情の渦からの脱出を図るような感じです。

 

電車を例にすれば、イライラや不安の満員電車に乗車するのではなくホームからその電車過ぎ去るのを眺めている、また漫画やアニメのように脳内で天使と悪魔が言い争いをしているイメージでも良いですね。

 

でもってそんな『メタ認知』が最近の研究ではメンタルを悪化させないためにかなり重要なことが分かっているんですが、今回は「メタ認知療法が認知行動療法よりすごいかも!」なんて話があったのでまとめておこうかと思います。

 

認知行動療法もメンタルの改善効果に定評があるんですけど、それを超えてくるのはすごい、、、。

 

 

 

メタ認知療法でメンタルの苦痛が大幅に減少するぞ!

これは2018年の研究になりまして「メタ認知療法が心理的な苦痛をどのくらい軽減できるのか?」について調べた過去の研究から質の高い25件の研究を統合し、一つの結論を出したメタ分析になってます。(p)

 

まずはデータのポイントをいくつか見ていくと、

 

 

という感じです。メタ認知療法のメタ分析としては、過去のメタ分析より参加者が多く、新しめの研究を含んでいるところは信頼度が高いポイントになってます。

 

でもって早速結果を見ていくと、

 

  • メタ認知療法は何もしないグループと比較すると、心理的な苦痛を大幅に軽減する!【Hedges g = 2.06】
  • 行動活性化と認知行動療法(CBT)と比較すると、メタ認知療法の方が効果が大きい【Hedges g = 0.69、95%CI [0.36-1.03], k = 8】
  • 追跡調査したときの効果もメタ認知療法の方が大きかった【Hedges g = 0.37、95%CI [0.07-0.66], k = 7】

 

とのこと。効果量の『g』は0.8を超えると効果が大きい!とみなされるんですが、何もしないグループと比較した研究で効果が出たのはもちろんのこと、認知行動療法と比較してこの効果量の大きさはかなりすごいのではないでしょうか。(ちなみに自然のメンタル改善効果はg = 0.71)

 

加えて対象になった参加者別のサブグループ分析によると、

 

  • うつ病患者を対象とした研究では大きな効果量が得られた【g = 2.68、95%CI [1.85-3.51]、k =8】
  • 全般性不安障害の患者を対象とした研究でも大きな効果が得られた【g = 1.61、95%CI [1.23-1.98]、k = 5】

 

とのことで、うつや不安といった症状にも効果があり!!と言えそうです。

 

ただ効果量が高すぎることに違和感を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、これは研究によっては何もしないグループと比較してる研究が含まれたり、分析方法の違いによって効果量が大きく出てるところもありますので、気持ち効果を低く見積もってもいいのかなと思います。

 

実際に統合失調症の患者に起こりやすい妄想(自分自身が生み出した想像で、自分を苦しませること)にスポットを当てたメタ分析だと、メタ認知療法の効果量が0.3前後に落ちてたりしますからね。(p)(p)

 

しかしながら、それでも小から中程度の効果があるのも確かなので、『メタ認知療法』の効果は折り紙付きと言えそうです。

 

 

 

メタ認知レーニングにはどんなものがあるのか?

メタ認知療法がとにかくすごそうだ!」ということで話を進めてきました、『ではメタ認知療法といっても具体的にどんなものがあるのか?』についてさらっとご紹介しておこうと思います。

 

 

デタッチド・マインドフルネスに関してはまた後日詳しく触れていきますが、過去の記事だと認知行動療法として紹介した『自動思考キャッチトレーニング』や『エクスプレッシ・ブライティング』に関しては、自分の思考を客観的に見るという面ではメタ認知的要素がありますし、『瞑想』もメタ認知を鍛える効果もありますね。

 

また研究者曰くですが

否定的な思考や感情は一時的なものであるが、人がこれらの思考や感情にCASの活動で反応すると心理的苦痛を長期化させ、不用意に否定的な感情を悪化させたり、長引かせたりする可能性がある。

〈中略〉

メタ認知療法は心配や熟考を処理から切り離すことでそのような感情を先延ばしにできるプロセスであり、一時的な感情は無害で、何の利点もないことを患者に体験してもらうことである。

とのこと。

 

なので先のメタ認知療法をやらずとも、何か落ち込む出来事が起こったとして「それに対してネガティブなことを考えてる自分はなんてダメだ〜」と考え続けるのではなく、「あ、またネガティブなことを考えてるし、また自分のことをダメだど責めそうになってるな」と気がついて、連鎖を止めることがメタ認知の第一歩と言えましょう。

 

自分がどんなことを考えるのかを意識していると、「自分は何がきっかけでネガティブになりやすいのか?」なんてことにも気がつきやすくなったり、「自分はなんだかんだ3時間後には気分変わってるんだよな」と言ったように自分の思考パターンとかもわかってくるので、一時の気分の悪さをスルーできるようなスキルも身につくかと思う次第です。

 

もちろん本格的にメタ認知を身につけたい場合は、上記のメタ認知療法をご自愛いただければと思います。( *¯ ꒳¯*)✨