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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

【炎症対策】心理療法が慢性病の予防になるのかもしれない!というメタ分析の話

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こんにちは、なすびです。( ˙꒳​˙ )

 

今回は久しぶり『炎症』に関するお話でございます。炎症についてはご存知の方も多いと思いますが、主に免疫細胞がウイルスのような外敵と戦っているような状態のことを言いまして、当ブログでは「この炎症が慢性的に続くとメンタル病む原因にもなるんじゃない?」ということで過去に大きく取り上げていたりします。

 

いかんせんメンタルの悪化って言うのは食事や睡眠といった生活習慣が乱れることで起こったりするんですけど、それと同時に体内で慢性炎症も発生してる可能性があるんですね。一方でそんなメンタルの悪化が正しい生活習慣によって改善するという研究も多いので、「これは体内の炎症状態が改善することによってメンタルが改善するのではないか?」と考えられているわけです。つまり「メンタル不調の根本て炎症なのではないか?」ということで、これは『うつ病の炎症モデル』なんて言われてますね。

 

もうちょっと身近な例で言えば、風邪のように病気になった時はなんだか心細い気分になったりしますけど、これも体内で炎症が発生してるからメンタルが弱ってるのかもしれないということです。

 

でもって今回なのですが、心理療法でメンタルが改善するメカニズムが炎症状態の改善にあるなら「心理療法で病気のような炎症が改善するのではないか?」ということに調べてくれている研究が興味深かったのでまとめておこうと思います。

 

 

 

心理療法で炎症が改善し、免疫が強くなる!

これは2020年に発表された研究になりまして、過去に行われた「心理療法と免疫機能」に関する質の高い56件のRCT研究を統合したメタ分析になっています。(p)総サンプル数は4060人、集められているデータも質が高いものが多いので、かなり信頼度の高い結果が得られそうな感じです。

 

ちなみにここで扱われた心理療法についてざっと見ていきますと、主に

 

 

というラインナップになってます。統合された56件中31件のデータには認知行動療法(CBT)が含まれているので、CBTに関しての質の高い結果が得られるのではないかと。でもって心理療法を行った参加者の免疫機能の改善レベルなどは

 

  • 炎症性サイトカイン(CRPやTNF−αなど)
  • 抗体レベル
  • 免疫細胞数
  • チュラルキラー細胞活性

 

といったところで評価されたんだそう。どれも代表的な免疫指標ですな。

 

では早速そんな分析結果を見ていきますと、

 

  • 全ての心理療法を総合的に見ると、心理療法は免疫機能を改善する働きがある(ppc g = 0.30、P < .001)
  • 心理療法をおこなったグループに関しては有益な免疫システム機能が14.7%向上し、有害な免疫系機能の働きを18.0%改善した
  • 心理療法の中でも認知行動療法(CBT)で最も信頼性が高い結果が得られた(ppc g  = 0.33、P  <.001)

 

とのことで、心理療法は免疫機能を改善してくれる効果があるみたいなんですよ。さらに心理療法による免疫機能の改善効果は少なくとも6か月間も続くみたいなので、これはなかなかポイントが高いのではないでしょうか。

 

この結果に関して研究者いわくですが、

心理社会的介入は免疫システム機能の改善、炎症性サイトカインまたはマーカーの減少、および免疫細胞数の増加と関連しており、これらは特に認知行動療法を中心とした複数の介入で得られました。 慢性疾患を治療するための心理社会的介入の有効性、そして比較的手頃な価格を考えると、心理社会的介入が慢性疾患の負担を軽減して、人間の健康を改善するためのより良い戦略となる可能性があります。

とのことで、心理療法の効果は持続しやすいし、コストも比較的安いので治療として適してるかもしれないといったところでしょうか。

 

日常的なストレスによってコルチゾールのようなストレスホルモンが慢性的に分泌されている状態が続けば炎症はもちろんのこと、血圧の上昇によって心疾患、そして血糖値が上昇して糖尿病のような病気になりやすいって話はありますので、そういったものを予防するためにも心理療法はなかなか優秀そうな感じがしますね。

 

まあこの辺は「病気にならないためにはストレスを溜めすぎないように」っていう結論にはなっちゃいそうなんですけど、個人的にはストレスケアが病気に対しての薬にもなるよ〜ってことで、ストレス解消法とかもマメに使ってもらえると嬉しい限りですね。