Vitality Asset

心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

座りっぱなしの悪影響を減らすためにはどのくらい身体を動かせばいいのか?というメタ分析の話

f:id:nasubi-healthcare:20200503103638p:image

 

こんにちは、なすびです。( ˙꒳​˙ )


「座りっぱなしは体に悪いぞ!」なんて話は聞いたことがあるかもしれませんが、この辺は過去の研究でも

 

 

なんてことがわかってまして、座りっぱなしはもちろんのこと長い時間同じ体勢で過ごしてると心疾患系の病気にかかりやすくなってしまうかもしれないわけですね。

 

この辺のメカニズムとしては「血流を含めた血管機能が悪化するからなのでは?」と考えられているんですけど、詳しいところはよくわかっておらず。しかしながら定期的な身体活動を挟むことでこの辺の悪影響が防げることもわかってたりしますので、座りっぱなしが体に悪いことはまず間違いと言ったところでしょうか。(p)

 

前置きが長くなりましたが、今回は「そんな座りっぱなしの悪影響を防ぐためには、どのレベルの身体活動をすればいいのか?」についての系統的レビューとメタ分析が出ていたのでまとめておこうと思います。

 

「座ったら動け!」っていうのは分かってたものの、「どのくらいの時間どのレベル強度で動けば良いのか?」ということはあまり分かっていなかったので、この辺について大規模かつ細かく調べてくれたのはかなりありがたいことかと思う次第です。

 

 

 

トイレに行くレベルの休憩でも効果はあるんじゃない?

これは2018年に発表された研究になりまして過去に行われた『長時間の座位が食後の血糖値やインスリン、トリグリセリド反応、血圧、血管機能にどのような影響を与えるのか?』ということについて調べてた研究を精査して、まとまった結論を出した系統的レビューになってます。

 

そんな系統的レビュー含まれた研究は44件で、そのうちの20件の研究ではメタ分析をおこなって「座りっぱなし辞めることで血糖値のような数値がどのくらい改善するのか?」という具体的な数値も出してくれてます。(p)

 

ちなみに研究の統合対象として集められた参加者は病名の診断と受けてない健常者だったとのことで、健常者を対象にした研究のなかでは過去最大級の研究かと思われます。

 

そんなわけでまずは系統的レビューの結果を見ると、

 

  • 食後の血糖値:40件中23件の研究では座りっぱなりしのグループは少なくとも1回は体を動かすグループに比べて食後の血糖値が優位に高い
  • 食後のインスリンレベル:28件中15件の研究では座りっぱなりしのグループは少なくとも1回は体を動かすグループに比べて食後インスリンレベルが高い
  • 食後の中性脂肪値:22件中8件の研究で座りっぱなりしのグループは少なくとも1回は体を動かすグループに比べて、食後の中性脂肪値が高い

 

ということで、いろんな研究を見てみてもやっぱり座りっぱなしは少しでも体を動かすグループに比べて、食後の血糖値やインスリン値については悪くなるという研究が多いと。これについては過去と同じような結果が出たということで、少し動くだけでも大分マシと言ったところでしょうか。

 

続いて『長時間座っているグループと、定期的に立ち上がって体を動かすグループ』を比較した、メタ分析の結果も見ていくきますと、

 

  • 定期的に動いたグループの方が食後グルコースは改善する(効果量:d = - 0.36、95%CI - 0.50~0.21)
  • 食後のインスリンも改善する(効果量:d = - 0.37、95%CI - 0.53~0.20)
  • 食後トリグリセリドは特に変化はなかった(効果量:d = 0.06、95%CI - 0.15~0.26)

 

とのことで、座りっぱなしの状態を少しでも崩してあげることで、多少の改善効果が得られそうな感じです。(効果量:dが0.2を超えると小、0.5を超えると中の効果があるとされてる)

 

また全体的に統合したデータの異質性が低い点と出版バイアスの証拠が特になかったとの事で、効果量に関しては低い印象を受けるかもしれませんが、この辺のバイアスが少ないのはポイントが高いと思います。

 

 

 

でもって1番気になる「どのくらいの強度と時間体を動かせばいいのか?」というポイントなんですけど、サブグループ分析の結果によれば、

 

  • 活動休止の強度は食後グルコースインスリン、またはトリグリセリドの数値に対して特に影響を与えなかった
  • 異なる休憩時間を比較した研究を含めても、数値に目立った変化はなかった

 

とのことで、この研究からだと体を動かすレベルや時間については特に関係はなく、とりあえずまめに立ち上がるだけでも十分なのではという結果になりそうです。まあさすがにランニングとトイレ休憩を比べたら差は大きいと思いますが、そこまでしなくても座ってる状態を定期的に崩して上げることが重要そうな感じです。


ちなみに座りっぱなしの状態を崩すことによる食後のグルコースインスリンまたはトリグリセリド値の改善の大きさは、摂取してる栄養バランス(炭水化物の総量は54.9〜228.5g)、BMI、年齢とは関係なかった!とのことで、座りっぱなしの状態を崩すメリットは誰に対しても大きい!といえそうな感じです。

 

この研究だと、「何分に1回立ち上がれ!」という具体的な時間までは分からなかったんですけど、研究対象になったアメリカ人の場合は90分以上座りっぱなしでいることが多いみたいなんで、1時間に1回立ち上がるだけでもマシかと思われます。

 

この辺はApple Watchのようなウェアラブル端末をつけてる人であれば、「そろそろ立ち上がりませんか?」みたいな通知が定期的にくると思うんで、それに従うだけでも十分そうな感じですね。( ˶˙ᵕ˙˶ )