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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

アーティストはうつになりやすいと言われますが、逆にそうじゃないと出来ない仕事なのでは?という研究の話


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こんにちは、なすびです。(  ˙꒳​˙  )

 

今回は「アーティストはメンタルに問題をかかえやすい!」なんて話が昔からあるので、今一度まとめておこうかと思います。

 

ちなみにここで言う『アーティスト』っていうのは、

 

  • 作家
  • 歌手
  • 写真家
  • デザイナー

 

といった、俗に言うクリエイティブな職のことになるんですけど、過去の研究によれば、

 

  • 2013年の研究:先の117万人のデータセットを使った別年度の研究でも、双極性障害といった精神病にかかってる人はクリエティブな職付いている割合が高かった。中でも作家は特にうつ病のような精神障害を発症している割合が高かった(p)

 

と言った感じで、「クリエイティブな職に従事してる人はメンタルに問題を抱えやすいのでは?」と考えられていたわけなんですね。

 

でもって、一応2018年にスウェーデンの445万人の人口データを使用した、最近の研究も見てみますと、

 

芸術教育を受けた人たちは、一般的な教育を受けた人と比べて、

 

 

といった感じで、メンタル面に何かしら障害を抱えるリスクが高かったんだとか。(p)もちろんこの結果はIQといった知性レベルや性別、年齢は調節されているので、改めて見ても何か関係がありそうだな〜と思う次第であります。

 

ただこれはもちろん、クリエイティブな職業についてるからメンタルがやばくなる!ということではないんですけど、アーティストのようなクリエイティブな活動とメンタルヘルスには何かと関連がありそうな感じなんですよ。

 

かの有名な『ナポレオン』『ベートーベン』『詩人のゲーテ』といった偉大なアーティストもメンタルが不安定だったと言われてますからね〜。

 

でもってそんなメンタルの不安定さの鍵になりそうなのが『創造性』という指標であります。

 

何か新しい作品を生み出すアーティストとして欠かせない『創造性』ですが、実は創造性を高めるにはメンタルの不安定さが重要なのでは??みたいな話がありますので、その辺について詳しく見ていこうと思います。

 

 

 

アーティストとしての成功にはメンタルの不安定さが重要??

これは2018年のレビュー論文になりまして、「感情と創造性にはどんな関係があるのか?」について調べてくれたもの。過去の論文を読み漁って、1つの大きな結論を出すタイプの研究ですね。(p)

 

でもって、この研究では感情に影響を与える神経伝達物質が色々出てくるので、改めて確認しておくと、

 

 

ざっくりした説明ではありますが、概ねこんな感じです。中には聞いたことがあるものがあるかもしれませんが、これらはモノアミン神経伝達物質と言われております。

 

でもって、何となくイメージがつくかとは思いますが、これらの分泌量が適量でないと興奮が収まらなかったり、やたらといろんなことに怯えたり、何かとメンタルが不安定なる原因と考えられてはいるんですけど、創造性に関してはこの不安定さが結構大事なんじゃない?という話なんですね。

 

ということで、それら一つ一つの役割を詳しく見ていきましょう。

 

ドーパミンがアートを生み出す起爆剤に!

ドーパミンが多いというのは言い換えると、少しの刺激にも大きく反応してしまうということになりまして、例えば「音楽のライブで普段の生活からは考えられないくらいテンションがぶち上がったり、甘いものをたべるだけでとても幸せな気分になったり」といった、ちょっとしたことでやたら気分が上がってしまう方は一定数いらっしゃるかと。

 

これは悪い方向に働けば中毒になんて言われ方にはなるものの、実はこの刺激に対する反応の大きさが、ちょっとした出来事から創造性溢れた作品を生み出す起爆剤のような役割を果たしてるのではないか?と考えられてます。

 

ちょっとした感情の爆発で名曲を作り上げちゃった!みたいな話は著名のアーティストの中ではよくありますが、これはドーパミンの多さ(バランスの悪さ)が貢献してるんじゃないかってことですね。

 

ノルエピネフリンが発想の原動力に!

ノルエピネフリンのレベルが高いと普通なら怯えなくてものに怯えるようになったり、ちょっとしたことで驚いちゃったりしやすいんですけど、一方でこの反応が創造性にも重要なんじゃないか?という見解もあるんですね。

 

これは先のドーパミンとの働きも関わってくるんですけど、

 

今までになかった新しいものに対して、すごく感銘を受けやすい(ノルエピネフリンの働き)

感銘(報酬)による精神的な興奮になる(ドーパミンの働き)

何か新しいものを生み出す原動力になる!

 

ということで、良いところがあまりないと思いきや、今までにない新しいものからの感銘や驚きを非常に受けやすいので、それを原動力にさらに新しいものを生み出すことに重要なのではということみたいです。

 

 

 

アーティストとして成功してる人はセロトニンのバランスが悪い

当ブログでお馴染みのセロトニンですが、これが正常に働くことがメンタルの安定に繋がるとはよく言われているんですけど、一方でクリエイティブな職に従事する人はセロトニンのレベルがやたら低かったりするわけです。ざっくりな判断ではありますが、精神的な制御が少し苦手な傾向にあるわけですな。

 

ただ一方とある研究によれば、アーティストとして成功してる人は『潜在的抑制』のレベルが低い人が7倍も多かったということで、これまた創造性の高さやアーティストとしての成功は、メンタルの不安定さが関わってきそうな感じなんですな。(p)

 

なんか色々と意外すぎるという感じではありますが、こう考えるとメンタル安定してないのって、アートにおいては良いのかな〜と考えてしまいますな(  ˙꒳˙ )

 

何だかんだで創造性が高い人は不安の処理もうまかったりする

でもって最後に創造性が高いとネガティブな感情の処理が上手いぞ!みたいな話がありましたので最後に。

 

最初のデータと矛盾してるようにも感じますが、355人を対象にしたRCTでは創造性の高いとネガティブな出来事をプラスに解釈し直したりするのが上手いみたいことがわかってたりもするんですよ。(p)

 

これをもう少しアーティスト的な流れで見ると、

 

良かったことや悪かったことなど、外部からのストレスを受ける

創造性というフィルターを通じて、その出来事について改めて解釈する(悪いことを良かった事として捉えなおしたり、その逆も然り)

何かしら自分の作品として形にする

 

という解釈を加えつつ、作品として形にするという流れがストレス発散も兼ねてるのではないかということですね。

 

長期的に見ればメンタルが不安定な傾向にあるけど、一回一回のストレスに対処するのはうまいといった具合でしょうか。

 

 

 

アーティストって病みやすくないと出来ないのでは?

そんな訳でアーティストのメンタルについて色々見てきました。

 

アーティストの人っていうのはメンタルが不安定になりやすい人が多い傾向にある一方で、いろんなことで一気一憂するからいろんな作品が生まれるじゃないか?ということにもなりそうです。ストレスに敏感だからこそ、いろんなことに繊細に感知し、感情の流れに身を任せて人の心を動かす作品を生み出すのかなと思う次第ですね。

 

僕自身もアーティストのライブにはよくいきますけど、あんなに人の心を動かす演奏ができるのって、いろんな感情に一喜一憂して、それをステージの上で爆発させる感性があるからだと思うんですよね。

 

まあその分、繊細なココロを持っていて傷つきやすかったり、カッとなりやすかったりはあると思うんですけど、ちょっとしたメンタルの不安定と代償にアーティストとしての創造性を獲得してるという部分はあるのかなと。

 

この理屈でいけば、メンタルが弱い僕もアーティストになれるかもしれませんな〜、なんてね(笑)