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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

【COVID 19】『新型コロナが人々のメンタルに与える影響はどれ程のものなのか?』について、ある程度まとまった結論が出てました

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こんにちは、なすびです。( ˙꒳​˙ )

 

今回は久しぶりに新型コロナのお話になります。5月の末から経済活動が本格的に再開されて約1ヶ月が経ちましたが、東京も少しずつ感染者が増え始めて何だか第二波が来そうな雰囲気が漂ってますね。またアメリカのジョンズ・ホンプキス大学の統計によれば、世界の感染者がもう1000万人を超えていて2ヶ月前の約2倍の感染者数になってます。ブラジルの感染拡大ペースなんか特に恐ろしい状況になってますね〜。

 

また薬に関しても最近はアメリカのFDAがクロロキシヒドロキンは「効果がある証拠がないし、心臓病のリスクが上がるかもしれない」ってことで緊急使用許可を取り消してますし、オックスフォード大学が行った研究だとデキサメタゾンといったステロイド剤が効くかもしれないっという報告があったくらいでしょうか。(p)

 

論文としての発表はまだなものの薬の研究は世界中で着々と進んでいる感じなので、研究者の方にはホント感謝しかありませんね、、、。

 

まあそんな時間の経過によって新型コロナ研究論文も増えてきてるわけなんですけど、今回は「新型コロナがメンタルヘルスに与える影響」について過去の研究を精査してまとめた系統レビューが出ていましたのでまとめておこうと思います。

 

 

 

コロナを経験すると、トラウマやうつになりやすいのかも

これは2020年5月末にコペンハーゲン大学が発表した研究になりまして、過去に行われた43件の研究論文をもとに「新型コロナとメンタルヘルス」の関係について大きな結論を出してくれてます。(p)

 

まずこの研究に含まれた43件の内訳を見ていきますと、

 

  • 感染者におけるメンタルの影響(2件)
  • 既存の精神障害患者におけるメンタルの影響(2件)
  • 医療従事者におけるメンタルの影響(20件)
  • 一般市民へのメンタルの影響(19件)

 

ということで、様々なケースから「新型コロナウイルスがメンタルにどんな影響があるのか?」ということを幅広く調べてくれている感じです。

 

ただ全体的に臨床試験がほとんどなく、横断研究のような観察研究や対照群(コントロール群)がない研究が多いので、情報の信頼度としてはどうしても低くなってしまいます。また大半のデータが中国の研究なので「この研究結果がどの人種でも当てはまるのか?」といわれると妥当性は低くなっちゃいますけど、今発表されてるものの中では大まかに全体像を把握するためのデータとして参考になるかと思う次第です。

 

分析結果に関しては先の4つのジャンルごとに出してくれているので、一つ一つ見ていこと思います。

 

新型コロナに感染者した人たちのメンタルへの影響

まず新型コロナウイルスに感染して入院した人たちのメンタルにはどのような影響があったのか?についてを調べた研究では以下のような結果が出ております。

 

  • 症状が安定している入院患者714人を対象にした研究では、96.2%に高いレベルの心的外傷後ストレス症状(PTSS)が存在する
  • 57人の患者を対象にした研究では、感染を経験することでうつ病の有病率が上昇する(p = 0.016)

 

どうやら大半の人がトラウマになるくらいのストレスを感じており、感染を経験することでうつリスクも上昇するみたいんですね。感染すると闘病生活はかなり辛いって聞きますもんね、、、。

 

また新型コロナとうつ病リスクの関連については、いくつか仮説が提案されているんですけど、

新型コロナウイルスが脳に影響を与えるレベルのサイトカイン応答を誘発することにより、直接または間接的にせん妄を引き起こす可能性がある。興味深いことにどちらの研究でも新型コロナウイルスによる髄膜炎脳炎が報告されています。

とのことで、どうやら免疫反応によるサイトカインストームのせいで脳に炎症が発生することがうつ病のリスクに繋がってるかもしれないみたいなんですね。この辺は「うつ病の原因は炎症かもしれない!」て話が昔からあるので、確かにありそうな感じではあるかもしれません。これは尚更かかるわけにはいきませんな、、、。

 

 

 

精神疾患を持っている人がパンデミックを経験することによる影響

ここから先は感染者ではなく、感染者になるかもしれない不安や経済的悪影響による不安といった、パンデミックがメンタルに与える影響という感じになっています。感染のような直接的な影響ではなく、感染するかもしれない不安といった間接的な影響ですね。

 

でもって、すでに精神疾患を抱えてる人にはどんな影響があったのか見ていくと、

 

 

とのことで、全体的にパンデミックの影響で既存の精神障害の症状は悪化をしていたんだそうです。

 

医療従事者のメンタルへの影響

医療従事者のメンタルがやばそう」という研究に関しては過去に多数発表されてるんですけど、この論文でもその点についてしっかりと触れられてました。そんな結果を見ていくと、

 

  • 医療従事者ではうつ病気や抑うつ症状、不安が増加していた
  • 医療従事者は非医療スタッフと比較して、高レベルの強迫性障害の症状が出ていた
  • 心理的な負担も大きく、睡眠の質も低下していた 

 

とのことで、この結果は特に女性、そして第一線の医療スタッフ(感染者に触れたりする)であるほど強く関係していたみたいです。

 

一般市民のメンタルへの影響

一般市民の研究のメンタルヘルスも過去にお話したのですが、また改めてチェックしていくと、

 

  • パンデミックの前と比較して心理的幸福度が低く、不安とうつ病のスコアが高くなっている
  • この結果はパンデミック発生時と4週間後の状態と比較してもほとんど違いがない
  • 作業員や技術スタッフと管理職やエグゼクティブスタッフといった、職務によっての違いも特にない

 

ということで、パンデミックの影響で精神的に負荷がかかった状態がかなり続いてしまっている感じであります。

 

 

 

メンタルが悪化する、パンデミック要因一覧

この論文では「うつ病や不安といった症状に繋がってるものはなんなのか?」ということについて細かく調べてくれてたので、このへんも共有しておきますと、

 

  • 自分の健康状態が良くないと感じてる(感染するかもしれない不安)
  • 睡眠の質が悪化してる
  • ストレスに敏感
  • 以前に苦痛なライフイベントを経験してる
  • 心理的な準備が欠如してる
  • 患者を助けることができるといった自己肯定感の低下している
  • パンデミックについての対策知識があまりなく、予防策を講じていない
  • 感染した疑いのある家族、親戚、友人などがいる
  • 家族支援の減少
  • 自粛による人間関係の減少
  • 不安定な所得
  • 新型コロナに関する情報に触れすぎる

 

といったあたりは、うつ病や不安のリスクに増加に関連していたとのこと。パンデミックでなくてもメンタルの悪化と関連してるものもありますが、どれも納得のいくラインナップなのではないでしょうか。

 

まとめ

ということで、新型コロナがメンタルに与える影響をかなり幅広いポイントから見てきましたが、研究によると

これらについてはより詳しい研究が必要ですが、結果は依然として関連性があります。感染中に嗅覚や味覚が低下したという多くの報告は、神経系への影響を示している可能性があります。そのため感染中および感染直後に精神症状も検出されているのではないかが心配です。

とのこと。新型コロナ特有の味覚や嗅覚の低下は神経系から来るもので、その影響が脳のようなメンタルに関わる器官に悪影響を与えてる可能性があると指摘していたのは、個人的には興味深いと感じました。

 

まあパンデミックに巻き込まれてる時点でメンタルが悪化は確実に引き起こされてるものの、感染することによってさらに悪化する可能性がありますので、この辺は引き続き予防や対策には気を使っていきたい感じですね。

 

ああ、それにしても早くバンドリのライブとサウナに行きたい、、、、。