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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

【コロナ予防?】うがい薬『ポビドンヨード』は感染症に効果あり!はどこまでホントなのか?

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こんにちは、なすびです。( ˶˙ᵕ˙˶ )

 

今回は久しぶりに『新型コロナ』に関するお話ということで、前回は確か『新型コロナが人々のメンタルにどのような影響を与えるのか?』というお話をしたような気がします。

 

あれから月日が流れて、新型コロナに関する研究については各国で研究数や論文の数も増えてきてはいるものの、残念ながら効果的な治療法やワクチンなどは見つかっておらず。つい最近だとWHOも「有効的な治療法はしばらく見つからないかもしれない」なんて話をしていたのが印象深いですね、、、。

 

まあ5ヶ月前の時点で「感染症が落ち着くまで1年から2年はかかるかもしれない」という専門家の意見や、モデルケースも開発されているので、現時点で見つかったらかなりすごいことだとは思うんですけど、そんな中話題になってるのが『ポビドンヨード』が新型コロナの予防に使えるかもしれない!という話ですね。うがい薬で新型コロナに打ち勝てるのではないか?という大阪知事の会見を見た方も多いと思います。(P)

 

Twitterとか見ると記者会見の解釈がかなり荒れてまして、知事も「効くことが決まったわけではない」って言ってるにも関わらず、メディアのせいで「うがい薬で新型コロナ直せる!」みたいな感じになってたのが悲しい限りでしたね。(*¯ㅿ¯*;)

 

さて、では実際のところ「うがい薬、ポビドンヨード感染症の予防になるのか?」というところですが、結論を先に言えば基本的に間に受けない方が良さそうと言ったところです。

 

この辺はWHOの日本支部も科学的根拠はないって言い切ってますもんね。

 

 

 

 

ポビドンヨード』の殺菌効果はデタラメなのか??

とはいえ『ポビドンヨード』が新型コロナの予防になるという説は、完全なるデタラメっていうものでもなく、海外のin Vitro試験でも新型コロナに対して殺菌作用があるかもしれない!って研究が出てたりします。(P)(P)

 

ただこれは人を対象にした研究ではないので、実際に人で実験した場合は予防効果があるのかはわからないわけなんですが、その辺を調べてくれたのが大阪はびきの医療センターの研究なんですね。

 

で、この研究ですが論文として発表をしているわけでもないみたいで、おそらくも査読(外部の研究者によるチェック)がされてないと考えると信頼度はかなり低い印象なのですが、一応研究の内容を見ていこうと思います。(P)

 

これは府の宿泊療養施設の療養患者41名を対象としているので、軽傷者を対象にしてるとのことなんですが、まず参加者には

 

  • 1日4回 ポビドンヨードでうがいをしてもらう(タイミングは起床時・昼食前・夕食前・就寝前)
  • 入所期間中、毎日唾液の検体でPCR検査をする(タイミングは朝起きてうがいをする前)
  • 普通のうがいグループとポビドンヨードのグループで陽性の検出率を比較する

 

という感じです。その結果「ポビドンヨードでうがいしたグループはそうでないグループに比べて、唾液からウイルス陽性検出頻度が低下した!」とのことなんですね。

 

でもって、この結果の解釈のところなんですが、

 

  • 口の中の唾液に含まれるウイルスが減った!
  • つまりポビドンヨードが新型コロナを軽症化している!

 

言いきれないことに注意が必要です。 もしかしたらポビドンヨードが何らかの作用で、検査の精度を下げているのかもしれないですし、鼻から検体をとって検査したらどちらのグループも変わらないかもしれないですからね、、、。

 

そして研究内容としても正直なところわからない部分が多すぎまして、

 

  • ポビドンヨードをどのくらいの濃さでうがいしてるの?(濃度によっては長期的なうがいで甲状腺ホルモンの働きに悪影響があるかもしれない)(P)
  • 41人中何人がポビドンヨードでうがいをしたのか?(人数のバランスが悪いと結果にばらつきが出やすい)
  • 一説によれば「ポビドンヨードのうがい」と「うがいをしないグループ」を比較してるので、これだとポビドンヨードによる効果なのか、単なるうがいの効果なのかがよくわからなくなってしまう、、、(研究のデザイン的なところ)

 

ということで、個人的にも懐疑ポイントが多いいかなという感じです。

 

特にポビドンヨードの長期使用に関しては甲状腺の働きを阻害するかもしれないって研究もありまして、ここは代謝系に関わるホルモン製造工場になるので、ここがやられると太りやすくなったり、元気がなくなったりするんですね。

 

ポビドンヨードの使用は確かに短期的には口の中のウイルスを弱めてくれる働きはあるかもしれませんが、長期的にみればかえって新型コロナに弱くなる可能性もあるということで、科学的な根拠はないってことなんですね〜。

 

 

 

ポビドンヨード』は風邪にも効果がないかも

とはいえ、今すぐに長期的な使用によるエビデンスが得られるわけでもないのは事実なので、参考までに『従来のコロナウイルス(いわゆる風邪)にうがいがどのくらい有効なのか?』を調べた研究も見ていきましょう。(P)

 

これは18〜65歳の健康な男女387人を対象にしたRCT研究(科学的にも信頼度が高い研究法)なんですが、

 

  • 水でうがいをするグループはしないグループに比べて、風邪を経験する確率が36%低い
  • しかし『ポビドンヨード』でうがいするグループは特に差は見られなかった(統計的有意ではない)

 

ということで、従来のコロナウイルスの場合は「うがい薬って効果ないんじゃないか?」っていう結論も出てたりします。このへんも考えると新型コロナに対しての効果もなんともいえない感じなりまして、そもそもうがい自体が有効かどうかもよくわかってないですからね、、、。

 

まとめ

ではいろいろお話してきましたが、まとめるとポビドンヨード』が感染症の予防になるかどうかは「その人の予防の捉え方次第!!」という感じで、

 

  • 唾液による飛沫感染を弱める効果がもしかしたらあるのかもしれない(飛沫から相手に移しにくくなり、感染が拡大を減衰させる効果があるのかも)
  • あくまでPCRの陽性検出率が下がっただけなので、単にPCRの検査精度を下げているだけかもしれない(つまり症状を軽減している!とはいえない)

 

といったように「感染を広めないという予防には使えるかもですが、症状を軽減する効果はなさそうだよね」と言ったところでしょうか。大阪知事の立場を考えると、『ポビドンヨード』の使用は感染を広めない方の発言だったのではないかと考えられそうですね。

 

今はテレビの影響でうがい薬が手に入らないみたいですが、感染を広めないためのガイドラインについては皆様が既にご存知のものも多いので、今まで通り手洗いと人混みを避けるといったことをコンスタントにやっていけば、うがい薬が手に入らなくても落ち込むことはないと思う次第です。

 

うがい薬を求めて薬局に列を作る方が科学的に考えてもリスクが高いと思われますので、皆様は何卒ご注意してもらえればと思います(´・ω・,`)