不安が良くないんじゃなくて、不安を良くないと思ってることが良くないんだ!という話
こんにちは、なすびです。
明けましておめでとうございます。今日は久しぶりに心理学のお話です!
テーマ
気づいてないかもしれませんが、不安って良いところが意外とあるぞ!
- 不安って良いイメージないけど、実は大事
- 不安は身を守るためのアラートなんだよ
- 不安になりやすい人はより良い判断ができるぞ
- 実は知性が高いぞ
- 自分が思っているよりミスが少ない
- まとめ
不安って良いイメージないけど、実は大事
イラスト: Shrikrishna Patkar
不安症ということで「不安ってどうにかなんらんもんかね〜」とか思ったりするわけです。そんな不安を減らすために食べものに気を使ってみたり、認知行動療法みたいなメンタルトレーニングみたいなことを色々やってみたりするのですが、どうにもならない時もあるわけです。
なんだかここ最近は不安に対する印象がさらに良くない感じになっているのですが、「不安って実は大切な感情なんだ!」みたいな話があったのでまとめておこうかと。
実は不安にも使い方やメリットがあるっぽいので、それを知っておくことも感情をコントロールする上ではなかなかよさそう感じだと思います。
不安は命を守るためにアラートなんだ!
まずは不安って何のためにあるの?という話から。進化心理学という学問によれば、不安は自分の身を守るためのアラートして働いてきた重要な機能なんだそう。例えば「あの茂みを進んだらライオンが出てくるかもしれない」、「刀を持っている人がいるから近寄らないほうがいいかも」といった感じで、不安を働かせてネガティブな予測をすることは生き延びるためにも必須だったわけですね。(p)(p)
ただ現代においては命を落としてしまう状況なんてほとんどなくなったものの、不安というアラートは健在。アラートの使い道は「今の人反応が悪かったような、私何かしたかな?」、「明日のプレゼン失敗したらどうしよう」といった部分に反応するようになっているわけですね。
こんな感じで、不安が生活には重要であることは間違いないものの、今の環境ではあまり上手く使えないことが多いみたい。不安症の人は原始人のような世界であれば、生き延びるのがうまかったかもしれませんが、現代では相手の反応や心配しなくて良いことなのに対して敏感に反応するので、気が休まらないことも多かったりするわけです。
この問題はどうしようもないところはあるのですが、初めに「不安が現代ではいい方向に働いてない!」というちょっとした知識紹介させていただきました。
ではここからは「そんな不安ってホントに現代では役に立っているの?」ということで、不安の良いところを3つ書いていきます。
より良い決断をしやすい
まず1つ目が不安になりやすい人は、より良い決断をしやすいとのこと。(p)
「より良い決断」というとちょっとぼんやりした感じになってしまいますが、不安になりやすい人はリスクに敏感なのでより利益的な選択ができるそうなんですね。
そんな不安がリスクや不確実性が高いことに敏感に反応するので、結果的に
- ギャンブルにハマりににくい
- 交通事故にも会いにくい(p)
なんてメリットがあったり。あとは損得にも敏感な傾向があるので、買いものをするときは慎重に吟味するので後悔が少ない!といった可能性もありそうですね。
これは不安がリスクを上手に避けてくれているので、良い判断が出来ている感じではありますが、常に警戒しているという部分もあるので疲れやすいのが難点。ただ本人の自覚がないところで良い判断が出来ているみたいなので、これはメリットと考えて良さそう。
不安になりやすい人は知性が高いかも!
不安になりやすい人はIQが高い!なんて研究がいくつかあるのですが、どうやら不安のレベルが高い人ほど知性テストの成績が良い傾向にあるんだそう。(p)(p)
そんな知性の中でも、不安になりやすい人は特に言語を操るような知性が高いとのことでして、実は文章を書くのが得意だったり、説明がうまい部分があるみたいなんですね。
研究者によれば、
不安になりやすい人は過去と未来に起きたできごとを細部まで記憶する能力に長けています。そのため、より強めに不安やネガティブな思考を思い返すことになる。
とのこと。記憶力が良いがゆえに嫌なことも鮮明に覚えていて苦しくなっちゃうみたいなんですね。不安になりやすい人は記憶力も良いなんて研究もありますが、この辺にも繋がってきそうですな。(1)
まあ記憶力がこんな形であだになるとは思いませんでしたが、これからは「記憶力が良くて、言語能力が高いんだ!」ということを意識して生きていこうと思います。(笑)
実は自分が思っているより、ミスが少ない
不安になりやすい人は自分が思っているよりミスが少ない傾向にあるんだそう。「自分が思っているより」というのが結構ポイントです。
これは最初の「より良い決断をしやすい」と似ている部分はあるのですが、不安になりやすい人は先のことを予測した上で、準備を怠らないといった慎重な行動をする傾向にあるので、ミスが少なくなりやすいんだそう。これは不安が良い感じに働いている気がしますね。
しかしながら僕自身は不安になりやすいですけど、「ミスが少ないぞ!」と感じたことは特にないですし、これを読んでいる方も「私は不安になりやすいから、ミスが少ないのか!」なんて感じた方はそんなにいないはず。
それもそのはず、そもそも不安になりやすい人は「ミスが少ない」というより、「ミスそのもの」に意識が向きやすいので、ミスがなかったことよりもミスしたことが強く印象に残りやすいわけです。これはミスが少ないと思えることがないわけですね〜。(p)
これはノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの研究では『分母の無視』と言われる現象で、1000回中3回しかミスをしてないと考えればミスが少ないと思えますが、そもそも「1000回中」という分母を無視すると3回もミスしたという結果しか意識できないので、ミスが少ないと感じる方が稀。(p)そもそも普段から成功した回数なんて数えてる人なんてなかなかいないですし、このくらいミスしなくて当然という意識を持っていれば、なおさらミスを意識してしまうわけなんですね。
ここで「自分が思っているより」というポイントの話に戻ってくるのですが、不安になりやすい人は事前にミスを防いでいるケースが多いので、ミスを減らせていることに気がつきにくいというところがあるわけです。
つまり
- 不安になりやすい人はミスに注目する
- 未然にミスを防いでいるので、ミスが少ないことを実感しにくい
というダブルパンチで不安のメリットに気がつけてないわけです。うーん、なんということだ、、、。(´・ω・`)
まあこのへんは「心理的な影響で実感しにくいけど、実はミスを減らしてくれてるかも!」なんて意識してもらえると良さそうですね。
まとめ
以上不安になりやすいメリットについて書いてきましたが、復習しますと、
- リスクを上手いこと避けるので、より良い決断をするのに役に立っている
- 実は言語をうまく使うような知性が高い
- 自分が思っているよりミスが少ない
といった感じかと。
不安になりやすい人はリスクに敏感な部分があるので、その辺がプラスに働いているっぽいですね。ただ先の話で長々とお話しさせていただいた通り、これらは無意識のところで働いているので不安のメリットが実感しにくいのがネックであります。
僕個人としても「自分は頭が良い!」と思ったこともなければ、ミスが少ないと思ったことないので、正直不安になりやすいメリットはあまり感じられてないです。(笑)
ただいろんな人と比較してみれば、不安になりやすいおかげでこの3つのメリットが働いるっぽいので、「今日の仕事で失敗が少なかったのは、色んなリスクに意識を向けてたからだな」とか「今日何もなかったのも未然にトラブルを防いでいたからだな」みたいな感じで、不安のメリットを意識しながら、生活をいきたいと思います。(`・ω・´)
参考
(1)https://uwspace.uwaterloo.ca/bitstream/handle/10012/8742/Delleman_Bethany.pdf?sequence=3&isAllowed=y