Vitality Asset

心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

「電子レンジの調理は栄養が減るし、発ガン物質も生み出す!」はどこまで本当なのか?

f:id:nasubi-healthcare:20201209221533j:image

 

こんにちは、なすびです。

 

今回は『電子レンジ』にまつわる噂話についてでございます。

 

皆さんも「電子レンジの調理で栄養素が壊れる!」とか、「発がんリスクが上がる!」みたいな話は耳にしたことがあると思いますが、今回はその辺について改めて考えてみた記事になってます。

 

 

でもって先に結論だけ書いてしまいますと、

 

 

  • 過度に電子レンジを避ける必要はない

 

 

ってことで、正確には「いろいろなポイントを考慮しても電子レンジを使わないのは現実的じゃないよね〜」っていう感じなんですが、詳しいロジックが気になるという方は読み進めていただけると幸いでございます。(`・ω・´)

 

 

 

電子レンジで栄養は減るのか問題

まず電子レンジで栄養価が減るのか?ってところなんですが、まず抑えておきたいのが、

 

 

  • 加熱時間が長いほど栄養は減る
  • 加熱温度が高いほど栄養は減る

 

 

っていう原則であります。これは電子レンジに限らず、鍋で茹でるにしろフライパンで焼くにしろ同じような変化がありますと。

 

 

「では電子レンジと従来の加熱方法の違いはなんなのか?」といえば、マイクロ波によって食品の水分子を振動させて短時間でガッツリ高温調理するところなんですが、それによって栄養がどのくらい減るのかを見ていきますと、

 

 

  • 1992年の研究:乳児用のミルクに含まれるビタミンBとCは電子レンジで加熱しても減少しなかった。(P)
  • 2005年の研究:ニラ、ブロッコリー、ほうれん草などの野菜をゆで、蒸し、電子レンジといった調理法で比較したところ、抗酸化作用にほとんど違いがなかった。(P)
  • 2013年の研究:オレンジジュースをマイクロ波と通常の加熱で比較した研究ではビタミンCの含有量はどちらもほぼ同じだった。(P)
  • 2018年のレビュー:多価不飽和脂肪酸のように熱で酸化しやすい脂質は通常の加熱調理と比べて、電子レンジの方が酸化が促進されるかもしれない(P)
  • 2020年の研究:乳幼児の粉ミルクを電子レンジで加熱した研究では脂質が酸化していたが湯せんと比較して大きな差はなかった(P)

 

という感じ。もちろんここでまとめられていない栄養素に影響がある可能性は否定できないものの、電子レンジで調理するからといってガッツリ栄養素が減ってるのか?と言われるとそうでもないのかなと。

 

まあ多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれた食品(揚げ物とかジャンクフード系)は電子レンジで温めると特に酸化が促進されるかも!って話ではあるんですが、普段から健康に気を使ってこの辺を食べない人からしたら縁のない話ではある感じになってますね。

 

ちなみに鍋で茹ると電子レンジに比べて水に溶けやすいタイプのビタミン(水溶性ビタミン)は外に流れ出ちゃうんで、この辺の良し悪しを気にして調理法を変えるのは結果大変なんじゃないでしょうか。

 

 

電子レンジの調理でがんになりやすくなるのか問題

で、もう一つが『電子レンジの調理が発がん物質を生み出すのか?』って話ですね。

 

そもそも食材の高温調理で発がん物質が生まれやすくなることが既にわかってることなんですが、「電子レンジはその影響がより大きいのではないか?」という話があるんですよ。

 

でもってこの辺について詳しく調べてくれてたのが2020年にマーズリー大学が発表した論文になりまして、過去行われた『マイクロ波加熱とアクリルアミドの生成』に関する研究をまとめたレビューしてくれたものになってます。(P)

 

ちなみに『アクリルアミド』っていうのは、特にジャガイモのような糖質をフライパンとか揚げ物など高温調理した際に多く発生する発がん物質の一種なんですが、電子レンジのようなマイクロ波による水分子の摩擦で瞬間的な加熱する方法は特に発ガン性を生み出してるのではないかと考えられてるわけです。

 

で、この研究では「火による加熱とマイクロ波による加熱でアクリアミドの生産に違いはあるのか?」って研究をいろいろ見て結論を出してくれてはいるんですが、

 

 

  • 結果がまちまちでなんともいえない

 

 

ということで、電子レンジの加熱の方がアクリルアミドが多い!って研究もあれば、従来の加熱の方が多い!って研究もあるのでよくわからん感じなんですよ。

 

でもって研究者の結論としても

マイクロ波加熱食品におけるアクリルアミドの形成は、プロセスパラメータおよび処理された製品の特性に依存すると結論付けられるべきである。

とのことで、加熱するに食べ物によって影響が変わってくるから電子レンジが悪だ!とは一概にはいえないわけですね。

 

 

で、電子レンジによってアクリルアミドを減らす基本的な方法については、

 

  • 加熱時間を短くする(マッシュポテトの加熱時間を100秒から150秒に延長したら、アクリルアミド含有量が140倍増加した)
  • 低温の加熱する(500Wを200Wに落とす)

 

といったようなところなんですが、これに関しては電子レンジだけじゃなく加熱調理全体的に当てはまるのがなんともいえないところ。

 

 

それでも電子レンジの使い方に気をつけたいという方はどういう使い方をすればいいのか?については

 

  • ポリフェノールが豊富な食品は含まれたものは電子レンジOKにする(抗酸化作用を持った食品はアクリルアミドの生成量が少なくなる)
  • 水分が多い食品は加熱OKにする(食品の表面を湿せることで焼き物や揚げ物のアクリルアミドが大幅に減少した)
  • 食品の解凍だけに使う
  • 酸化しやすい油を使った食品を温めるのはやめる(昨夜の揚げ物をレンジで温め直すとか)

 

って感じですね。まあここまでルールを決めて電子レンジを使うのが実用的とは言えない気がしますが、それでも怖いという方はここまで気をつけるといいんじゃないですかね、、、。(揚げ物を水で湿らせるか、冷めた状態で食べるのもちょっと嫌ですけどね)

 

 

まとめ

ということで、ざっとまとめると

 

  • 電子レンジで調理するからといって目立って栄養が減るわけでもなさそう
  • 発ガン物質を生み出さないように電子レンジを使うのはあんまり現実的じゃなさそう

 

てところで、結局電子レンジでの加熱に限らず、フライパンとか揚げのような調理すれば同じような結果になるんで、気にせず使えばいいんじゃないかと思う次第です。時短なるといったメリットもありますからね〜。