【10選】メンタルが病みやすい職場の特徴について調べた「ハーバード・ビジネス・スクール」の調査のお話
こんにちは、なすびです。(*¯ㅿ¯*;)
今回は職場のメンタルヘルスってことで、以前『うつ病になりやすい職業』についてさらっとまとめたんですが、今回はアメリカのハーバード大学ビジネススクール(MBA)が『身体を壊しやすい企業の特徴』について調べた調査がありましたのでまとめておこうと思います。
これは2015年に行われた調査になりまして『職場と健康』に関する6,452件の研究から的確な228件を選び、統合したメタ分析になってます。(P)
まぁいかんせん、アメリカの研究結果なので日本人にどこまで当てはまるかは分からない部分はありますが、かなり大量の文献から「どういった条件で体とメンタルの調子を崩しやすいのか?」について特徴を調べてくれてくれているので、日本人でも参考になる部分はあるのではないかと思う次第です。( ˙꒳˙ )
でもって、そんな「身体を壊しやすい職場の特徴」を10個にまとめると以下のような感じだったんだそう。
- 健康保険の欠如(福利厚生が充実してない)
- 失業やレイオフがある(一時的な解雇)
- 仕事の不安(いつクビになるかわからない)
- シフト勤務
- 長時間労働
- 仕事と家庭の対立
- 仕事のコントロール感が低い(裁量権がなさすぎる)
- 仕事でのプレッシャーが大きい
- 職場でのソーシャルサポートがなさすぎる
- 組織的公正の低い(何かとフェアでない)
ざっくり言えば『ブラック企業の特徴』みたいな感じなんですが、もちろんいくつか当てはまるからと言って、必ずしも体調を崩すわけではないことに注意が必要です。ただ当てはまるものが多いほど、身体を壊すリスクが上がるのは間違いなさそうな感じではありますね。
この10個の中だと何となく分かるものもあれば、これはどういうことだ?と疑問に思う部分もあるとおもうので、それぞれの理由について、もう少し詳細に見ていこうと思います。
健康保険の欠如(福利厚生が充実してない)
これは大きな枠で捉えると福利厚生が充実してないという感じになるんですが、いかんせんアメリカだと日本みたいに医療保険が充実してないので、健康保険の存在は非常に重要なわけです。
一方日本では健康保険の加入は義務なのであまり関係ない部分もありますが、身体を壊しやすくなる理由として
- 個人が破産する原因の1つとして重大な病気による医療費の影響があるから
- 保険に加入しないと健康診断などを受けにくく、病気の早期発見が遅れるから
ということで、健康保険がないと病気が重症化しやすかったり、経済的な不安にも苛まれ続けちゃうからなんだそう。この点に関しては日本だと充実してるので大きな心配はなさそうですが、確かにストレスにはなりそうですよね。
失業やレイオフがある(一時的な解雇)
失業によるショックで体調を崩したり、メンタルが悪化するのは何となくイメージしやすいかと思いますが、同論文のデータで見る限りでもその影響はかなり明確に出てまして、
- 仕事を失うと健康状態が「まあまあ」または「悪い」と報告する確率が80%増加する
- 失業した人はうつ病リスクが2倍に上がる
- 失業はまた失業後の1年間は死亡リスクが44%〜100%増加する
といった傾向が確認されております。
このへんは収入を失うことで生じる経済的ストレスや職をもっているという社会的アイデンティティがなくなってしまったり、皆と同じではなくなってしまったという社会的孤立が関連してるとのことですが、これは完全な失業ではなくレイオフといった一時的な失業(工場の受注が減ったから、2ヶ月お休みで!)なんかも、体調を崩す原因になるんだそうです。
仕事の不安(いつクビになるか分からない)
先の話だと失業した人達の話でしたが、雇用されている人であっても仕事を失うかもしれないという不安感はストレスとなるのは間違いない感じです。実際のデータをみても、
- 仕事の不安を経験した女性看護師は軽い心筋梗塞を発症する可能性が約89%高い
- ダウンサイジング企業(いつ人員を減らされるか分からない企業)で働く従業員では病気による欠勤が2倍以上高い
とのこと。この辺は成果主義のプレッシャーが影響してるところもあると思うですけど、いつクビになるか分からないは間違いなくストレスになりますよね。
労働時間とシフトワーク
長時間労働で身体を壊しやすいのはわかりやすいと思いますが、自由な働き方としても根付いてるシフトワークで身体を壊しやすいのは何故か?については、研究者曰く、
従業員が勤務時間と勤務スケジュールを選択する際、ある程度の裁量権を持っている可能性はあるが、ほとんどの場合は勤務時間と勤務量は実質的には雇用者の管理下にある。
ということで、自分の働きたいと思う時間に必ずしも働けるわけでもないし、職場の都合にある程度合わせる必要があるのでそこまで自由なわけでもないと。
でもってそのへんが仕事のストレスになったり、夜勤だと睡眠に悪影響が出たり、意外とプライベートのスケジュールにも悪影響が出たりする可能性があるので、身体を壊しやすいんだそう。(長時間労働ならなおさら)
ちなみに別のデータだとシフトワークと長時間労働の両方を満たしていると喫煙などの不健康な行動にも繋がりやすいんだそうな。
仕事と家庭の対立
これは簡単にいうと仕事と家庭が両立がしにくいような職場のことで、例えば仕事が忙しすぎて子供の面倒がみれない、もしくは家事が忙しすぎて仕事に復帰できないような状態のことですね。
でもってこのように、職場と家庭のバランスが取りにくい職場だと、
- メンタルヘルスの悪化や薬物乱用にも正の関係がある
- 健康状態の悪化や、アルコールの過剰摂取にもつながりやすい
とのことで、ストレスのせいで健康状態が悪化しやすい高度にも繋がりやすいんだそう。これもかなり納得なのではないでしょうか。
仕事のコントロール感が低い、仕事のプレッシャーが大きい
仕事のプレッシャーが体調に影響を与えるのはいわずもがなですが、仕事のコントロール感も実は心身の健康においてかなり重要な要素になります。ちなみにコントロール感というのは裁量権のことになるんですが、これがあると自分のやり方で仕事が出来たり、ある程度判断を任せてくれるてる状態のことですね。
でもって、この辺もデータによると
- 仕事のコントロール感が低い上に仕事のプレッシャーが大きいと、心血管疾患リスクが上がったりと健康状態が悪くなりやすい
- イギリスの公務員を対象とした研究だと階層ランクが高い人(裁量権がある偉い人)ほど、心血管疾患のリスクが低くなる傾向があった
とのこと。偉くなるほどプレッシャーも大きくはなるものの裁量権が増えると病気のリスクが減る傾向もあるため、どれだけ自分の仕事のボスでいられるかも非常に重要かわけですね。
職場でのソーシャルサポートがなさすぎる
ソーシャルサポートというのはかなり広い範囲の物言いなんですが、先の例でいえば、福利厚生なんかもそうですし、いつでも相談できる環境(社内での相談窓口)、雇用の保証など心理的なストレスを和らげる仕組みのことです。
これらが充実してればメンタル面的にありがたいものの、逆にいえばソーシャルサポートがあまりにも無い環境だと、ストレスによって身体を壊しやすくなってしまうのは想像しやすいのではないでしょうか。
組織的公正の低い(何かとフェアでない)
これは簡単に言えば「職場の人たちとフェアな関係でない!」というもので、例えば「上司に意見できない職場の風土が出来上がっている」とか「私に対する上司の評価が明らかにおかしい!」という感じです。
賃金なんかもそうですが、上司のパワハラを防ぐためのシステムや公平さを管理するようなシステムが出来てない組織は身体を壊しやすいわけですね。これも間違いのではないでしょうか、、、。
特にメンタルに悪影響がある3つの特徴
これまで紹介した10のポイントは全てストレスに関係してるものの、その中でも特にメンタルの不調に関わっていたのが、
- 失業やレイオフ(一時的な解雇)
- 仕事と家庭の対立
- 高いプレッシャーや要求
だったそうです。
この辺の結果については研究者いわく、
我々のモデルによる職場関連死亡率の推定値は、2009年の米国における第4位『脳血管疾患』および第5位『事故』の死因に匹敵し、糖尿病、アルツハイマー病、インフルエンザによる死亡数を上回っている。
〈中略〉
職場環境は、ストレスや能力やコントロールの感情だけでなく、その人のアイデンティティやステータスの場所としても影響を与えます。したがって、雇用主の決定が作り出す職場環境が、精神的・身体的な幸福度、その結果、罹患率、死亡率、医療費に多大な影響を与えることは驚くに値しません。
とのこと。
もちろん業種によってある程度結果が変わってくる可能性もありますが、上記の10のポイントの中でもこの3つが当てはまるとメンタルの調子を崩しやすいというのは、頭の片隅に置いておくといいかと思います。
もし上記の10のポイントを見てあまりにも当てはまりすぎてたら、転職を前向きに考えてみるのもありだと思います。確かに辞めることで次の職を見つけるまでは大変な思いをするかもしれませんが、特にメンタル系の疾患は治すのがなかなか難しいので、この辺は背に腹は変えられないといった所でしょうか、、、。