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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

カフェインによって向上する能力って結局何なのか?というレビュー論文の話

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こんにちは、なすびです。( ˙꒳˙ )

 

『カフェイン』といえば、集中力アップや運動のパフォーマンスアップ、脂肪燃焼のブーストに使われる定番アイテムのひとつでして、コーヒーやお茶など様々なものに含まれている成分。スポーツの世界では合法のドーピングなんて言われるほど、効果に関してはかなり折り紙付きだったりします。

 

カフェインはこの通り認知機能のアップや身体機能の向上など、様々な効果が期待されるわけなんですが、今回は『結局カフェインにできることって何なのか?』について調べたレビュー論文が面白かったのでまとめていこうと思います。

 

 

 

カフェインは全体的にパフォーマンスを上げるが、摂取し過ぎると逆効果

これは2016年の論文になりまして、『カフェインが身体機能や認知機能にどのような影響を与えるのか』について調べたレビュー論文になってます。(P)

 

過去に行われたカフェインの研究を大量に精査して、ある程度まとまった結論を出してくれているので、何だかカフェイン大辞典を読んでるみたいで面白かったですね。

 

で、話の流れとしては主に二つの軸でカフェインについて調べてくれてまして、

 

  • 認知機能にはどんな影響があるのか:記憶力、仕事の集中力やミス、日中の気分など
  • 身体機能にはどんな影響があるのか:有酸素運動無酸素運動による筋肉の持久力や反応速度など

 

まぁ認知機能が筋肉のような身体機能に影響を与えてる部分もあるんで、完全に分けられてるわけでもないんですが、基本的には脳と身体といった2つの軸でカフェインの影響を見てくれてる感じでした。

 

そして先にカフェインが認知機能や身体機能で共通して与える影響を見ていきますと、

 

  • 効果の大きさは摂取量で変わる:摂取量によってパフォーマンスが上がるし、取り過ぎると返ってパフォーマンスが下がる
  • 個人差がすごく大きくカフェイン感受性が高い(カフェインに敏感な体質)とカフェインの効果が大きく出やすい
  • その人のコンディションにも効果が左右される:睡眠不足や疲労でパフォーマンスが落ちている人である場合は一時的に能力を上げてくれるけど、落ちてなければカフェインの恩恵は少ない

 

というところは頭の片隅に置いてもらえると良さそうです。

 

カフェインは脳にどんな影響があるのだろうか?

まずカフェインは認知機能にどんな効果があるのか?ということで、脳への影響をみていきましょう。

 

★ほぼ確実に向上する能力

 

  • 警戒力:軍隊の見張り番や高速道路での長時間の運転など、長くて単調な活動に従事している人の場合、200 mgのカフェインを摂取することでパフォーマンスが大幅に向上した
  • 集中力(注意力):9 時間にわたる航空機の偵察任務シミュレーションテストでは、200 mgのカフェインを4時間間隔で2回投与することで集中力を維持するできる

 

▲もしかしたら効果があるが、よくわかってないもの(効果に一貫性がなかったり、RCTのような質の高い研究ではない)

 

  • 急性記憶:カフェインによって記憶を保持する能力や思い出す能力を高める効果があるかもしれないが、効果に一貫性がない部分がある
  • 慢性記憶:カフェインを消費が多い人の方が将来的に神経変性疾患の発症リスクが低かったり、認知機能が高い傾向があるが、認知機能が高い人が意識的にカフェインを摂取してる可能性が否定できない
  • 気分への影響:少量であれば緊張を改善し不安を軽減する可能性がありますが、量が増えると不安や緊張、震えの症状を増加する恐れがある

 

という感じで、集中力アップの効果は間違いなさそうな感じです。

 

気分の改善効果もあったりするんですが、それ目的でカフェインを使うとかえって気分が悪くなるケースもあるので、個人的にはお勧めできない感じです。

 

 

 

カフェインは身体能力を高めてくれるのは間違いなさそう

次は運動のパフォーマンスの向上といった、身体機能編になります。

 

★ほぼ確実に向上するもの

 

  • 有酸素トレーニングでのパフォーマンス:カフェインと有酸素運動のパフォーマンスに関する59件の研究のうち46件(78%の研究)で、パフォーマンスの向上が確認された
  • 無酸素トレーニングでのパフォーマンス筋肉トレーニングといった無酸素トレーニングのパフォーマンスに関する33の論文のうち66%でパフォーマンスの向上が確認され、筋肉痛を和らげるような効果も見られた
  • 高強度トレーニングでのパフォーマンスHIITのような高強度トレーニング(無酸素運動がメイン)とカフェインに関する研究のうち69%で研究では、パフォーマンスの向上が確認された

 

ということで、全体的に運動のような身体機能のパフォーマンスがアップするのは間違いないさそうな感じなんですが、特に有酸素トレーニングのパフォーマンスアップが大きそうな感じ。

 

この辺は最近のメタ分析でも無酸素運動より有酸素運動の方がカフェインの恩恵を受けやすい結果になってたので、特にランニングとかサイクリング系の運動で力を発揮したい場合、カフェインはいいかもしれません。(P)

 

夏の水分補給にカフェイン飲料はよくないのか?

これはちょっとおまけっぽい内容になりますが、夏の水分補給にカフェインってどうよ?みたいな話も取り扱ってたので触れておこうと思います。

 

確かにコーヒーとかお茶は利尿作用があるから、水分が出ていって水分補給にならない!みたいな説もあるんで気になるところではありますね。

 

この論文だと、運動中におけるカフェインの影響に関する研究によれば、特に血液中のミネラルの減りが増加するわけでもないし、脂肪燃焼のサポート効果で体温が上がる訳でもないってことで、夏にカフェイン飲料が危険という根拠はないんだそう。

 

まあ自分はあんまりカフェインが多い飲料を飲もうとは思わないですけど、「夏の水分補給にアイスコーヒーはダメだ!」っていう証拠は特にないみたいなので、ちょっとした知識として頭に入れておくといいかもです。

 

副作用はかなり過剰に取らなければ大丈夫そうだ

カフェインを取りすぎるとパフォーマンスが下がるという話は冒頭でお話した通りなんですが、副作用がないのか?というポイントについても気になるところかと思います。

 

で、この論文だと震えや吐き気といった副作用が確認された研究は、約40時間の睡眠不足の状態を作って600mgのカフェインを摂取した後に報告されていると言うことで、その人自身のコンディションがかなり悪かったり、かなりの高容量使わなきゃ大丈夫そうと言う感じでした。

 

なので安全な容量を守ればそこまで怖がる必要もなさそうです。

 

 

 

どのくらいの量を摂取するのがベストなのか??

色々書いてきた中で「カフェインによるパフォーマンスアップ効果がそれぞれ違うぞ〜」っていう話だったわけなんですが、最後にカフェインの目的別ベストな摂取量を見ていくと、

 

  • 集中力といった認知機能を高めたい場合:40〜300 mg(目安は自分の体重kg✖️約0.5〜4.0 mg)
  • 運動の能力を高めたい場合:運動の約1時間前に200〜500 mg(目安は体重kg✖️約3〜7 mg)

 

の範囲にしてもらえると、安全かつ効果が得られやすいとのこと。ブラックコーヒーでいえばどちらも約1〜2杯ってところですね。

 

ただカフェインの影響は先に述べた通りその人がカフェインにどのくらい敏感なのか?にも関わってくるので、もしブラックコーヒやお茶を飲んでみて体調が変だなと感じたらおやめください。

 

この辺は研究者も

カフェインは睡眠時間が得られる場合には睡眠の代わりとして考慮されるべきではないが、一晩の間にカフェインを繰り返し摂取することは睡眠の減少による身体機能や認知機能への悪影響を緩和するための有効な戦略である。

ということで、あくまでカフェインは睡眠がどうしても取れない時や疲労によるパフォーマンスの低下を抑えるものなので、寝不足を帳消しにするためにカフェインを使うのはやめる!というポイントは抑えておきたいところかと。

 

集中力を高めるならカフェインを無理して取らなくても睡眠の質を上げる手段もありますし、カフェイン苦手って人でもコーヒーの匂い嗅ぐだけでも運動のパフォーマンス上がるみたいな話もあるんで、この辺はご自身で調整してもらえるといいでしょう。(P)

 

カフェインの量に関しては飲料別のリストがあるんでこの辺を目安に、自分にとってベストな量を模索して貰えればもらえれば幸いです。( *¯ ꒳¯*)

 

※どれも100mlあたりのカフェイン量

 

★コーヒー

・ドリップコーヒー:60〜100mg
・インスタントコーヒー:27〜72mg
・カフェインレスコーヒー:1〜3mg


★お茶
・普通:6〜22 mg
・濃いめ:13〜33 mg

★アイスティー:6〜10mg

レッドブル:34mg

コカ・コーラ:10mg