ついついネガティブな判断をしてしまう3つの心理現象とは?
ネガティブな判断をしてしまう仕組みを知っておくと良いのでは?
こんにちは、なすびです。
ここ一年でメンタルヘルスについて気にするようにはなったものの、やはりメンタルに関する知識が増えたことが、非常にメンタルの安定に繋がっている気がしております。
具体的には「自分が不安になっているのはなんでなのか?そしてどんなプロセスが働いて不安を大きくさせているのか?」ということについて、いろんな説明がつけられるようになったことや、対処の仕方が分かるようになったからだとは思っております。
そんな感じで今回は「ネガティブな考えって、どんなプロセスを踏んで生まれているのか?」みたいなことを知っておくと、メンタルをコントロールするのに良さそうだなと思いましたのでまとめてみました。
まあ、病気も原因がわからないっていうのはすごく不安になりますけど、「〇〇病です」といった感じで「どういった症状なのか?」、そして「どんな治し方あるのか?」を知っているだけでも安心感があると思うので、その辺の効果を狙っていきたいですね。
ここからはネガティブな判断をしてしまうメカニズムのようなものを3つほど紹介していきますが、考え方の良し悪しはいったん無視してください!
これらの考え方が必ずしも悪いと言えるわけでもない(良いところもある)ので、「無意識なところでこんな心理現象が起きていて、ネガティブになりやすいんだな」くらいに捉えてもらえればと思います。
内容はノーベル経済学賞を受賞した、ダニエル・カーネマンさんの「ファスト&スロー あなたの意思はどう決まるか?」より、抜粋してお届けしていきます。(`・ω・´)
「なんだか見た目が怖い、この人は怒鳴るに違いない」というハロー効果
すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ハロー効果という有名な心理現象がありまして、これがネガティブな判断をしてしまう1つの原因になっております。
ハロー効果は感情的な1つの情報から全てを当てはめる心理現象のことを言うのですが、例えば
- 頭が良いから、仕事も出来るに違いない
- 雰囲気が良いから、誰にでも親切なんだろうな
- 声がかっこいいから、さぞ素敵な男性なんだろう
といった感じ。どちらも身に覚えのある感覚かと思いますが、これはネガティブな思考にも影響を与えておりまして、
- 見た目が怖い人は怒鳴るだろう
- 中年の人は若者の意見を聞かないだろう
といったネガティブな先入観の原因になったりするわけですね。
ハロー効果の影響力は人によってことなるものの、わかっていても避けられないことが多いのが難点。(・・;)
なので「このお客さん怒鳴ってきた人に似ている、なんだかこの人も怒鳴ってきそうだな。」みたいなネガティブが思い浮かんだら、「いやいかん、これはハロー効果だ!」なんて考えてもらうと少しは楽になるかもしれませんね。
いかんせん僕も、イカツイお客さんが来ると言動とかがビクビクしたりするんですけど、話してみると「全然良い人じゃん!」なんてことが多いので、ハロー効果は恐ろしいなと思うことが多いです。ただわかって考えちゃうのが、ホント悲しい(笑)
「滅多に起きないことが、頻繁に起こるように感じる」という利用可能性ヒューリスティックス
利用可能性ヒューリスティックなんていう意味のわからないワードを出してしまいましたが、これは自分の周りで起こったことほど思い出しやすいという心理現象のことを言います。
具体的には
- 飛行機事故が2日連続で報道されたので、自分が乗る飛行機も落ちる気がする
- スパイ映画を見た後に、黒服の男を見ると「あいつは何か企んでるのでは?」と考えやすくなる
みたいな感じ。手短な例は思い出しやすいということが原因で、それが起きる可能性を高く見積もっちゃうということですね。
ちなみにこの心理現象は人を対象にした研究でも、確認されておりまして、
- 事故で死ぬ人は糖尿病で死ぬ人の300倍と判断されたが、実際は糖尿病で亡くなる人のほうが4倍も多い
- 病死は事故死の18倍多いにもかかわらず、どちらも同じくらいというイメージを持ってた
なんていう印象を生み出すわけですね。
これは報道番組をよく見る人には起きやすい現象なのですが、
報道番組で交通事故のニュースをよく見る
↓
何だかんだ交通事故が頻繁に起こっているような気がする
↓
病死に関するニュースはあまりないので、病死が少なく感じる
↓
結果として、事故の方が多くて、病死が少なく感じてしまう
というわけですね。
煽り運転の報道見てドライブレコーダーが欲しくなったり、友人がインフルにかかったので、打つつもりのなかった予防注射をうちに行ったりするのも、この利用可能性ヒューリスティックの影響だったりします。
そして利用可能性ヒューリスティックはネガティブな思考にもしっかりと潜んでおります。
生きてればネガティブやショッキングな出来事はあると思いますが、
- 嫌な部分は記憶に残りやすい
- 無意識に嫌な部分に注目することが多くなる(怒っているお客さん、上司がイライラしている部分)
- 注目することが多くなるので、それが頻繁に起こると思い込む
- 「世の中は嫌なことばっかりだな〜」という印象を作る
といったことになりやすくなったりします。
嫌なことが気になってしまうのは仕方のないですし、それに注目しやすくなってしまうのも仕方のないことですが、そうなると起こりそうで起こらないネガティブな出来事が頻繁起こるような印象を作って、変に怯えることになったりもするわけですね。
個人的にもクレーム受けた次の日なんかは、「今日もなんかクレームきそうだな〜」なんて考えることがありますが、「いや、これは利用可能性ヒューリスティックで、嫌なことが頻繁に起きるような気がしているだけだ」なんて考えるようにしてます!いや、独特かよ(笑)
人は「これが起きたのは偶然だ!」と考えるのが苦手!
「今日の気分が悪かったのは、睡眠不足のせいだ!」といった感じで、人は因果関係をつけるのが大好きみたいなんですが、逆に「今日気分が悪かったのはたまたまだ」といった感じで、「これが起こったのは偶然だ!」と考えるのは非常に苦手なんだそう。
一応有名な実験を紹介しておきますが、とある病院で次のような3通りの子供が生まれました。
- 男男男女女女
- 女女女女女女
- 男女男女男女
みなさんも、この3択について考える少し考えてみてください。
実験では参加者に「これをみてどんな印象を持ちますでしょうか?」と訪ねたのですが、数学的に起きる可能性はどれも同じ、かつ全て偶然の結果であるにもかかわらず、1と2の選択肢では「何か原因があるんじゃないか?」といった考えになってしまうそう。
あまりにも偶然でなさそうなことには、何か原因があるんじゃないか?と考えてしまうわけですな。
さて、これがネガティブな思考にどんな影響をもたらすのかといいますと、自分が真に受けなくてもいいネガティブに苦しむことになったりするわけです。
例えば、自分がお客さんを怒らせてしまったという場合を考えたとき、真面目な人であれば、「お客さんが怒ったのは、私の説明が下手だったからだ」、「自分の知識が足りなかったから」といった感じで、お客さんを怒らせてしまった、その理由について考えることはあるかと思います。
ただ先の「偶然と考えるのが苦手」という話に戻ると、ここで「今日なんか嫌なことでもあったのかな〜」とか「誰が対応しても怒っていたんだろうな〜」みたいな想像はしづらかったりするわけですね。
自分のせいにすることで、成長する場合もあるので良し悪しはおいておきますが、「偶然」とか「たまたまだ」みたいな選択肢を持っておくと、考えなくていいネガティブに苦しむことに減るのかなと思います。真面目な方ほどおすすめであります。これを無責任と捉えるか、ポジティブと捉えるかは皆さましだいですな(´・_・`)
まとめ
ネガティブなことを考えてしまう心理現象について触れていきました。「中年男性からのクレーム」という程で、ざっくりまとめますと、
- ハロー効果の影響で、「中年男性=クレーマー」というイメージを作る
- 利用可能性ヒューリスティックの影響で、中年男性のクレームに目が行きやすくなる。そして中年男性にはクレーマーが多いというイメージを作り出し、いつ来るかわからないクレームに怯えやすくなる
- 「クレームが発生したのは、中年男性がプロジェクトで失敗してイライラしていたからだった」ということにもかかわらず、「自分の対応が悪かった」というふうに考えてしまう
といった感じですかね。
ただこの心理現象が必ずしも悪いというわけではないというのは最初に述べた通りであります。
ネガティブな出来事をキッカケに成長する場合やうまくいく場合もあるので、「こういった心理現象が気にしなくのも良い、ネガティブなことを意識してしまっているかも」といった感じで、使ってもらっても良いのかなと思います。(`・ω・´)
僕もネガティブになった時は、「このへんの思考が働いてるんだな〜」みたいなことを考えるようにしているので、個人的にもオススメですね。やっぱ心理学はええわ〜。
参考文献