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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

他人との比較はおおむね良くないが、その中でも『良い』比較と『悪い』比較があるぞ!というお話

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こんにちは、なすびです。

 

「他人との比較は良くないぞ!」なんて話はよく耳にするかと思いますが、かの有名なアドラー心理学でも「全ての悩みは他者との比較ある!」と言われるほどでして、まあ何かで悩むにしても根本的には他者との比較が存在するよね〜という話であります。

 

もちろんこの比較がメンタルヘルスにも大きな影響を与えてまして、

 

 

なんて話は過去に書いた通り。

 

「あいつの方が自分より稼いでる」、「わたしよりすごい美人」と考えれば何かとネガティブになることも多いですし、かといって現代社会では他者との比較なくすことが難しいのもまた事実かと。

 

こんな時に自己啓発を頼ると「他人ではなく過去の自分と比較せよ!」といった感じで、「比較の仕方を変えよう」なんていうアドバイスが出てくることが多いんですけど、今回はこんな感じで『健全な他者との比較』ってなんかないのかな〜?と思ったので、まとめていこと思います。

 

 

 

他者との比較にはメリット、デメリットどちらも存在する

「他者との比較」については1900年代から『社会比較理論』という学問で研究がおこなわれてますので、まずは2018年のレビュー論文を参考に比較の種類について見ていきます。(p)

 

社会比較については主に2種類ありまして、

・上方比較:自分より上の人間と比較する(友人は私より痩せている)

・下方比較:自分より下の人間と比較する(友人は私より太っている)

といった感じ。もっと細かい定義は省きますが、おおむね2種類あるとのことを抑えてもらえればよいかと。(他にも横方比較などがあります)

 

でもって研究者によれば、比較の種類にもいろいろあるけど人によっては比較がポジティブに働いたり、ネガティブに働りするということで、その辺ついてもう少し詳しくみていきましょう。

 

・上方比較(自分より上の存在との比較)の場合

 

ポジティブ:「あいつも頑張ってるから自分も頑張らなきゃ」と行動の活力になるパターン

ネガティブ:「自分はあいつより能力が低いのか、情けない」と落ち込んでしまうパターン(人によっては劣等感によるメンタルへのダメージが大きい)

 

・下方比較(自分より下との比較)の場合

 

ポジティブ:「自分より下の人間がまだいる」と安心するパターン(幸福感や自尊心を高めて、実はメンタルにいい影響があったりする)

ネガティブ:現状に満足して、ちっとも自分を改善しようとしないパターンがある

 

「友人と比べて、自分は何てダメな人間だ」と思いすぎても自己否定感でメンタルがやられてしまいますし、かと言って自分より優れてない人との比較で優越感に浸り続けても自分が得るものはほとんどないので、どちらかに偏りすぎないことが大事なわけですな。

 

ちなみにこのような比較は他者との比較だけではなく、自分の中での比較でも起きることでして、

・過去の自分との比較

 

ポジティブ:過去の自分に比べて、できることが増えてきたぞ!(例:一人でお金を稼げるようになった、知識が身についてきた)

ネガティブ:今まで出来ていたことが出来なくなる(例:年齢のせいで一人で歩けなくなる、うつ病になって家事が困難になる)

 

・理想(未来)の自分との比較

 

ポジティブ:今のままだと夢が叶いそうにないから、もっと頑張らないとな(例:大会で優勝するために、練習量を増やす)

ネガティブ:自分の理想よりはるかに下回ってる、もう全然ダメじゃん。(例:テストの点数がはるかに低くて、挫折しそうになる)

といった感じで、先と同じように良い方に働く場合と悪い方に働く場合があるので「結局どっちかに偏らないようにバランスよく比較することが大事だよね」なんて話になってきそうであります。

 

 

 

では『トップとボトム』、『過去と未来』の両方で比較しよう

先の話から「バランスの良い健全な比較が出来るかどうかは、結局その人の性格次第なのでは?」なんて結論になりそうですが、実はそれを含めても「健全な比較」をする方法があるので、諦めるのはまだ早いと言えましょう。

 

そんな「健全な比較する」ためのシンプルな方法が、『トップとボトム』の両方で比較するということです。先の話でいえば「上方比較と下方比較の両方を使う!」ということなのですが、これは科学的にも一定の効果が確認されていたりします。

 

46人の若い女性を対象に行ったダイエットに関する研究では、参加者に食べたもの、運動量、体重といったダイエットに関する日記をつけてもらうのですが、その時に参加者にはそれ以外にも「今の自分の体型や体重を何と比較してるか?」ということについても記入してもらいました。(p)

 

要は「モデルのような体型を目指してる」とか、「お相撲さんのような体型になりたくない」といった記録が、運動のような行動にどんな影響を与えるのかを調べてくれたのですが、そんな日記の分析からわかったことはと言いますと、

 

  • 自分より痩せている人との比較は食事制限や運動が増える傾向にある(食事= 1.20  運動 = 0.87)
  • 自分より太ってる人との比較でも、食事制限に関しては望ましい行動が増える(食事= 1.40)
  • 太ってる人と痩せてる人の両方と比較をすると、望ましい行動頻度が約3倍に跳ね上がる(食事= 3.00、 運動 = 4.22)

 

とのこと。「モデルのような体型になりたい」といった上方比較、「お相撲さん体型は嫌だ!」下方比較はどちらもダイエットに良い影響を与えていたものの、上下どちらの比較対象を作ることでダイエットとって望ましい行動が増えたわけですね。こりゃすごい(`・ω・´)

 

ではなぜ上下の比較対象を作るといいのか?という話ですが、

 

  • 下方比較によって「まあお相撲さんみたいにならなきゃ大丈夫っしょ」と油断しても、「モデル体型を目指す」という上方比較が怠けた自分を奮い立たせる
  • 上方比較によって「モデル体型にはまだまだ程遠いな〜」と凹んでも、「お相撲さん体型から遠ざかってきてる」という下方比較が前に進んでる感じを出して自分を励ましてくれる

 

といった感じ。2つの比較対象がお互いの良い部分と悪い部分補って、より良い方向に導いてくれるわけですな。

 

もちろんこれは自分の中の比較でも同じように、『過去、現在、未来』という流れで比較することで、メンタルへのダメージを和らげてくれそうな感じであります。

 

特に何か夢や目標に向かって努力していると、どうしても理想(未来)と現実とのギャップで凹むケースが多いので、自分が前に進んでる感じが得られにくく挫折にも繋がったり。しかしそこで過去の自分という比較対象を入れる事で、昔と比べると知識や出来ることが増えているという感覚が前に進んでる感じを生み出し、挫折を防いでくれるわけですね。

 

逆に過去の栄光にすがりすぎて怠けてしまっても、未来(将来)という比較対象を入れることで、未来の目標が自分にムチを打ってくれる!と考えると、『過去、現在、未来』の軸で比較することはかなり有用かと思う次第ですね。

 

 

 

まとめ

そんなわけで、長々と「他人との比較」について書いてきましたが、まとめますと

 

  • 上方比較、下方比較にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、全ての比較が必ずしも悪いわけではない
  • しかしデメリットの方に偏りすぎるとメンタルへのダメージになったり、成長が止まってしまったりする
  • そこで『ボトムとトップ』、『過去と未来』という両方と比較すると、メンタルへのダメージが緩和されやすく、望ましい行動にも繋がりやすい

 

といったことを抑えてもらえると良いのではないでしょうか。

 

「自分もブログの記事を1日2つ作りたい!」という目標があるものの、まだまだ実現は程遠い感じがしてちょっと情けなく思うところがあったり。

 

ただ昔は3日に1記事の生産ペースが限界ことを考えると自分がてきる事が増えてるような感じがするので、過去との比較も結構大事だな〜と励みになったりしますね。

 

まあ必ずしも全員励みになるわけではないものの、ちょっと将来や理想の自分との比較で凹みがちであれば、過去の自分と比べてどう変わってきたか?みたいなことを考えてみると気持ちが楽になるかもしれませんし、今自分は理想の自分と比べて落ち込んでるな〜と意識できるだけでも意味はあるかと思う次第です。