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心配性な元セラピストがメンタルヘルスについて考えるブログ

【紙の本 vs 電子書籍】読解力がより高くなるのはどっち??っていうメタ分析のお話

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こんにちは、なすびです。

 

昔から「電子書籍だと紙媒体に比べて理解度が落ちるんじゃないか?」って話があるんですが、今回は『改めて読書するなら紙とデジタルのどっちが学習に優れてるのか?』についてかなりしっかり調べてくれた研究があったのでまとめておこうと思います。

 

これはバレンシア大学が発表した研究になりまして、2000年~2017年の間に行われた『紙媒体とデジタル媒体の読解力』に関する54件のデータを統合したメタ分析になってます。(P)

 

ここでいうデジタル媒体っていうのは電子書籍はもちろんのこと、スマホとかパソコンとか画面越しのテキストを読むことも含まるんですが、サンプル数の合計としても171,055人とかなり多いので現状かなり信頼度の高い結果になっているといえそうです。

 

では、まずは全体的な結果から見てみますと

 

  • 紙の方がデジタル読書よりも読解力に優位な結果が出ていた(Hedgeg = -0.21、dc = -0.21)

 

とのことで、この結果は感度分析で質が低い研究などを取り除いても結果がほとんど変わらなかったそう。

 

ちなみに効果量だけ見るとそこまで大きな差ではないんですが、小学生の年齢に絞ってみると効果量がもう少し高くなるので若い時ほど紙媒体での学習が重要な可能性があるという感じにもなってました〜。(平均効果量 = 0.45)

 

 

 

続いて『特にどんな状況だと紙媒体がより優れてるのか?』について見ていきますと、

 

  1. 「時間がない時の読書」は「自分のペースでの読書」に比べて紙媒体の読書の方が優位性が高い
  2. 情報系の内容または情報と物語が混合した内容の場合は紙ベースの読書で優位性は高い。しかし物語の内容のみを使用した研究では結果が一貫していなかった。
  3. 紙媒体での読書の優位性は年を追うごとに高まっていた

 

とのことで。自己啓発本のような知識系の内容なら紙媒体の方が頭に入りやすいけど、ハリーポッターみたいな物語系の内容なら紙でもデジタルでもどちらでも良いと言ったところでしょうか。

 

また時間がない時の読書なら紙の方が理解度が高くなるって結論も非常に興味深いんですが、この辺はデジタル端末だと集中力が阻害されやすいからかもしれませんね。(P)

 

そして最後の3に関しては『デジタル媒体に慣れてさえしまえば紙と比較した時のマイナスな影響も小さくなるのではないか?』と考えられたりもするため、紙媒体の優位性は年を追うごとに減っていくという仮説が立てられたりするんですよ。

 

しかしながら、研究者曰く、

この仮説に反して我々の結果は過去18年間で画面に対する劣等感の効果が増加していることを示しており、年齢層間でのメディア効果に差は見られなかった。これらの驚くべき知見は、子どもたちがデジタル機器に触れる時期が早くなり、大人がデジタル機器に触れる経験が増えたり、技術が向上したりすることで、画面に対しての劣等感がなくなるのを安易に待っていてはいけないことを示唆している。

とのこと。加えて、

デジタルを利用した評価・学習環境は、その魅力の高さから、多くの教育システムで導入されている。しかし、今回の研究で明らかになったように、デジタル環境が必ずしも深い理解と学習に最適とは限らない。直截的な結論としては、コンピュータによる学習環境が魅力的にもかかわらず、プリントされたテキストを提供することは理解度向上のために有効な方向性であるかもしれないということである。

とのことで、現状だとやはりデジタルより紙の方が優れているのではないかという結論になっておりました。

 

まあこの辺は読むコンテンツの内容とか読書に割ける時間に影響される面もありそうなんものの、基本的には紙媒体の方が読解力が高まるという認識をもってもらえると良さそうです。

 

自分はどっちかというと紙の手触り感が好きなんで、この結果はありがたいっすね。(`・ω・´)